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心の老化

精神的な「老化」は、年齢のように測れるものではないけれども、存在している。

それは多くの場合、年齢とは正比例に老化していくように思えるし
そうでないようにも思える。
30歳代でも老化しまくってる人もいれば、私の大好きな90歳女子は体は老いても心は若い。
さらに、定年退職などにより
自然な形(人とのおしゃべり/違う世代との交流)での世間情報が入ってこないことも
精神的な老化を早めている気がする。

会社というのはよくできたもので
自分が好きな人も嫌いな人も
交流を持たなくてはやっていけない。

新橋の飲み屋で「いまどきの若いもんはよぅ」「おれっちの若いときはよぅ」
なんて、くだをまいていても、
明日になればストレス源の「若い者」と交流をし
その人にとっては何らかの刺激になる。

ということで、会社/社会を離れて
自分と同じような人とばかり付き合うようになると
刺激がなくなり、そう、体で言えば「足腰が弱くなる」
ように感じる。

シニア層と接していて、「この人若いなあ」と思うのは

・異文化(異世代、知らないこと)に対して
 「面白そう」と思えるかどうか
 (逆は「興味ない」「そういうのは自分と関係ないから」)

・これができるようになったらあれもできるようになるという
 未来を感じられるかどうか
 (逆は、これができるようになった。あれのやり方は解らない)

・自分の前例を覆すことができる
 (逆は、自分の経験と前例の範囲でしか動けない)

かなあと思う。

できなくてもいいから、やってみよう!って思えることって
とても重要で、そういう人はとても楽しそうで輝いて見えるし

できなくったっていいじゃん、できるようになればいいじゃん、
できなかったらやめたっていいじゃん、

と、軽く挑戦できるのって心の若さを保つ秘訣に見える。

一口でシニアと言っても、体の老化+心の老化も含めて
しっかりどのようなシニア層をターゲットとするのか
把握していないと、しっかりしたシニアビジネスはできないと思う。

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見えない「先」は存在しない。

私の好きな話↓
『徒然草』 第52段.仁和寺にある法師

略すと、お坊さんがお参りに行ったのに、途中で勝手に勘違いして帰っちゃって最後まで行かなかった。マジウケル。(By兼好法師)という内容である。

シニア層のネット操作を見ていると、いつもこの話を思い出す。

Nさんは65歳男性。
インターネットを初めて2カ月になる。

「年末はインターネットをやろうと思ったのに、楽しくなくてすぐ閉じちゃった。」と仰る。

インターネッ子(笑)としては聞き捨てならない言葉である。

「どんなものを見てみたいですか?」

「何があるかわからないから、何も見れない」

「テレビとか見ていて、気になるものをとにかく入れてみればいいんですよ」

「例えば・・・」と、色々見たくなるキーワードをぶつける。

「なるほど、自分が調べたいものを出せばいいんだ。
でも、調べても、何が出てくるかわからないし
ただ見ているだけだから、出来ることが少ない」(←??)

と、仰るので、実際にご興味のありそうなキーワードで見て頂く。

すると、よくあるシニアの行動、

検索結果で「ほら、ここには答えが無い」
これはよくあること。

そこからクリックを促す。

「この情報はつまらない。ただ見ているだけだから」(←??)

「では、前に戻りましょう」

いろいろ話を聞くと、その商品が興味あるのではなく、商品で出来ることに興味があるとか。

「キーワードを変えましょう」

「変えなくちゃいけないの?」

「そうです」

「ふーん」と不服そうに。

「よく解らないんだよなー」

そして、促さないとクリックしない。

「もっと見てみましょう。」

色々なページを表示していただく。
色々なキーワードを入れていただく。

「なるほどねー」

ようやく少し楽しくなってきたようだ。

映画のサイトを観たり、そこから最近気になる女優さんの映画を観たり、いろいろ進んだ。

先が見えない、想像できない、というのは、そこに進む価値があるのかどうか見極めない=行かなくてもいい、と判断されてしまうんだなと思う。

件の徒然草では、自分の目的が達せられたからと勘違いし、山の上(本堂?)まで行かなかったわけだが、その先にどんなものがあるのか想像できなければ前に進まない。

シニアのユーザーテストをやっていると、
さまざまな思い込みで途中でやめてしまう。
もしくは、ないものとして扱う。

「これができたらいいな」と思うのは若い証拠で
「見えるものだけを使う」というのが老化した証拠なのかもしれない。

シニアビジネスやら、シニア向けの商品やら、サイトやら考える時は
目的に達成できるような道案内が重要だなー
空気嫁とか、工夫しろとか、自らの努力を求めることはしちゃいけないなーと
つくづく思った瞬間だった。

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顧客の努力


パソコン、インターネットで、顧客に対してどこまで頑張りを求めていいのかと時折悩む。

先ほど、とあるネットサービスを触っていて
とても難しい、と感じた。

その難しさとは、
・どこのボタンにどのような機能があるのかが解らない
・クリックしたボタンから出るサブカテゴリが、これまた訳が分からない

結局、先ほどもクリックしたところを再度クリックしていたり
かなり本気で立ち向かわないと
このサービスは使えそうもないな、と思い、

使用を断念した。

まあ、来週、もう一度挑戦してみよう、的な。


これは、私の努力不足だろうか。

もっと真剣に、このサイトに立ち向かうべきなのか。


高齢者がECで買い物をしようとする。
買い物かごが見当たらない、解説が理解できない、
同梱ができない、

若い人には驚くくらいのたくさんの障壁が、今のサイトにはある。

そんな時に
あなたの努力が足りないのよ、と思うタイミングについて悩む。

年を取ると、
老眼とか、手の動きが鈍いとか、短期記憶がよくないとか、色々な機能が低下する

その生理現象を乗り越えて
サイトは、真剣に立ち向かって購入しなくちゃいけない
モノなのだろうかと思う。

最低限の操作は、努力できる部分もある。
たとえば、指マークにならないとクリックできないとか
クリックできないものを何度クリックしてもクリックできないとか
そういう基本操作は覚えてほしい。

でも、店側で
指マークになってほしそうなところは指マークにしてあげることもできるし
クリックしたくなりそうなところは、クリックさせてあげたり
もしくは、クリックをしたくならないような画面でもいいと思う。

サイトは「自然に使える」状態が楽しくて
「立ち向かわなくてはいけない」と思ったら、突然大変な作業になる。

高齢者から「インターネットで買い物は難しくてね」
と言われるたびに、彼らにどこまで努力を求めるのか
サイト側はどこまで努力すべきなのか


その線引きにとても悩む。

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初心者に教えるときに留意している10のこと

よく、初心者に教えるくらいは簡単でしょう、と言われるが
実は、初心者ほど教えるのが難しい。

初心者の方は、パソコンに関して慣れている人と
同じ概念を共有していないので、
何を考えているのかわからないからだ。

たとえば、クリックという言葉一つとっても
慣れた人には当たり前のようにわかる、
人差し指でポン。も、初心者の方にとっては
全てが新しい言葉であり、「覚えるべき知識」だと思っているから
なかなか頭に入らない。

初心者に教えるにはちょっとしたコツがいる。
特に大人を教えるときにはプライドもあるし、
忘れっぽくなるので、とても気を遣う。

私が初心者に教えるときに留意していることを書き出してみよう。


1.相手の理解度を知る


相手がどのくらい理解しているのか、誤解しているのかを
とにかく質問して知る。細かくステップを確認する。
どこまで解っているのか、解っていないのかを把握する。

2.相手が何を質問しようとしているのかを聞く


相手がどんなことに困っているのかを聞く。
この時に、ただ聞くのではなく、質問をたくさんする。
相手は、自分の困っていることを得てして表現できないので
小さなボールをたくさんぶつけて、相手の困っていることを探り出す。

3.相手の話を信用しない


初心者の方は原因と結果が結びつきづらい。
なぜそのような事態になったのか、さらに、現状がどういう状況なのか
把握できていない場合が多い。
そのため、相手の話を鵜呑みにすると、判断を間違えることが多い。
なので、質問をする。たくさん質問をする。

4.ボールをたくさん投げる


相手の理解度を細かく確かめる。
たくさんボールを投げてしまうと最初のボールを忘れられてしまうので
適切なところで切り上げる。
一度に沢山は教えない。相手のメモの取り方などを見て
今はここまで!と決める。(相手から求められても、まずはここまでを復習しようと促す)

5. 覚えてもらおうと思わない


ユーザーに覚えてもらおうとは思わない。
覚えてもらおうとするとそれがプレッシャーになるので
相手の気持ちがしぼんでしまうことがある。
覚えなくていいので、慣れてください、と伝えるようにしている。

6.カタカナを使わない


初心者にとって新しい世界のなじみのない言葉はストレスだ。
折角パソコンを使いたい!新しいソフトを覚えたい!と思っているのに
新しい言葉によって気分が萎えてしまうのは悲しいので
できる限り、カタカナを使わない。

7.擬音語を使う


でも、カタカナを使わないでどうやって用語を説明するんだと思われると思う。
そういう時は、擬音語を使う。
擬音語+正式語→たとえば、カチッと、はい、左クリック人差し指で一回。みたいな。
擬音語は素晴らしい。高齢になると指を離すタイミングなどが
掴めなくなるのでリズムを取るのにも擬音語は欠かせない。
イメージがしやすくなる。教えるときに覚えることを最少に、イメージをしやすくすることは意外と心がけている。

8.たとえ話を使う


相手と共有の概念がない。
インターネットでクリックで他のページと言われても、ページの概念が慣れた人と初心者では違う。
自己流の人とも違う。
なので、できる限り、一般的なたとえ話を利用する。
その際に、相手がどういう状況か(たとえば、免許を持っていない人に運転の話をしても仕方ない)
などを事前に知っておく必要がある。
できる限り相手と同じ認識レベルまで持っていく。

9.色々なたとえ話を使う


高齢になるとすぐに忘れてしまうのだが、たとえ話だと思い出す人が多い。
が、同じ説明を受けると、先ほど説明を受けたことだと思いだし
恐縮してしまい、質問できなくなる人がいる。
なので、同じ質問について答えるときには、できる限り、違うたとえ話を使う。


10.自分でやらせる、考えさせる


教え方が下手なうちはどうしても操作を奪いたくなる。
また、やってあげることが優しさだと勘違いすることもある。
やってもらえることが優しい先生だと勘違いされることもある。

しかし、それは優しさではない。と、私は思う。
だから、自分でやった方がよほど早くても我慢の子。


何よりも重要なのは、相手と自分の認識が違うということを理解することだと思う。

自分は車の運転が下手で、うまい人が隣に乗ったら発狂するレベルだと思う。
なぜ、私がそういうことをしちゃったのか理解ができないんじゃないかと思う。
実際に車に乗っていた時は何人か発狂していたので。
#ちなみに、私は日本の平和のために今は車に乗っていません(笑)

わけわからん人を教えるときほど難しいものはない。
もし、皆さんが初心者を教えることがあれば
もしくは、ユーザーテストなどを行い
初めてのユーザーさんと会うことがあれば
そういうもんだと思って接していただければ
色々な人が少しずつ、色々なことができるようになって世の中はきっと楽しくなると思う。

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2012年のシニアビジネス展望

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様にとってワクワクな年になりますように。

さて、
2012年、シニア市場はどう変わっていくのでしょうか。
団塊世代の再雇用就職がピークだったのが2007年。
2012年「再」定年退職がはじまり、今年はシニア層の消費行動が大きく変わることが予測されます。

・シニア層の起業が増える


体力とノウハウのあるシニア層のプチ起業が増加することが予測されます


・ネットを使うシニア層が普通になる


これは、「車に乗る人が増える」位の軽さで考えてください。
デジタルシニアなどというと、いかにも駆使してます、というイメージになりますが、それは間違っています。
車マニアが増えて、車を使っていろいろなことができる…というより、車に乗れるようになった人が多いので、情報収集の方法が以前よりも広くなった、ということになります。
自ら情報の海に飛び込むにはネットは広すぎます。生活情報インフラとして、テレビ+新聞+雑誌+ネットになった位の期待値の低さでいきたいところです。
ただし、既知の情報をネットで探すことができますので、ウェブの見せ方はシニア対応が必要となります。


・新しい社会に足を踏み入れる


起業もそうですが、会社という枠組みがなくなると自ら努力しないと社会性をどんどん失っていくことになります。
そのため、新しい社会に足を踏み入れる努力をする機会が増えていきます。

このような状況を踏まえ、2012年、シニア向けに以下のようなサービスが人気が出ると予測しています。


・費用対時間がよいサービス


起業する方とはまた別に、のほほん組(週に2日くらい働いてあとは健康な限り遊びたい)も増加します。もちろん、お金は有限ですので、少ない費用で長く遊べるサービスが人気になります。


・継続できるサービス


ふっと趣味を持とうと考え、新しいおけいこを始めたが続かない、すぐに辞めてしまう、自分には合わないと感じた、など、継続のモチベーションが下がります。

シニア向けのサービスを始めるときにはこの「継続」していただくことが肝になります。

サービス提供者が継続をしていただくための仕掛けを作る必要があります。
継続する努力・工夫をシニア層に求めてはいけません。彼らはすぐにほかのサービスを選ぶことができます。星の数ほどサービスはありますからね。

継続をしていただくためには、難しすぎない、仲間外れ感がない、劣等感を感じない、成長を感じる、プチ成功体験を積むなどサービス提供者側が継続を意識したサービスを提供していく必要があります。団体で行うものであればいかに同質の人を集客するか、お互い仲良くしていただく仕組みを作るか…などですね。


・夢を持てるサービス


趣味と実益をリンクできるノウハウ系サービスの人気が出るでしょう。
これは比較的短期間×高額サービスとなるでしょう。


・他人とのかかわりを自然に作れるサービス


人は社会との関連、社会からの承認によって「楽しい」と感じる傾向があります。
そのサービスを利用することで、どのように承認される自分をイメージできるか、他人とのかかわりに希望が持てて、その希望を裏切らないサービスの人気が出ます。


・寂しさを埋めるサービス


加齢により体力が落ちていくと、心に隙間風が吹きます。
体力的なモノや、毎日決まって出ていく場所がない(出かけるのに理由が必要)になっていくと、なんとなく億劫になってしまい、寂しさを紛らわすのが下手になっていきます。
その寂しさを努力せずに埋められるサービスも2012年からどんどん必要とされていくでしょう。

今年は今までになく、、シニアビジネスが楽しくなるでしょう。
弊社では、子どもたちが、シニア層を見て「ああいう大人になりたいな」と思えるような大人生活を楽しめるサービスをどんどん手伝ってまいります!

市場拡大として、シニア層を考えている方、シニア向けサービスを始めたい方、自社サイトをシニア層でも使えるようにしたい方、どうぞお気軽にご相談ください!
2012年も張り切って皆様のお役にたち、ひいてはワクワクな大人社会を創ることができるよう、がんばります!

どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

シニアビジネスのご相談はこのサイトから

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