情報感度と老化
だいぶご無沙汰しておりました。
しばらく追われていていたのですが、忙しい期間の最後の締めが新宿区の消費者講座の講師役。
お題は「もう迷わない☆パソコンの買い方講座」
30名の方が難しそうな顔をして集まっています。
こちらのギャグも一つも笑いません。
それどころか、みんなメモ取ってます。
パソコンの語句について、買うときのチェックポイント、買う前に何をしたいかを よぉく考えよ、くわっくわっ(あひるの鳴き声)、パソコンメーカーにはツアー旅行的と個人旅行的があるから最初のうちはツアー旅行的の何でも入っているのがいいよー。という感じで説明する。
さて、質疑応答の時間。
「はい!」「はいどうぞ」
「パソコンのことはよく解りました。で、どこで買えば安いですか?」
「どうして値段の差が生じるのですか?」
「値切り交渉はどこまでいけますか」
・・・・・そういう質問か。思いもかけない方向から球が飛んできて(私の準備不足) そうだよね 彼らはパソコンを選ぶというよりも、できるであろうことがいまいち不明な場合、値段でしか測れないものね。
生憎、会場の後ろでは某家電量販店さんのご担当者さんがギロリとこちらを見ていたのでごにょごにょと濁す。
「確かに料金は重要ですが、量販店で大きく変わることはないと思うんですよね。気持ちいい担当さんがいたら、その人の気持ちよさに対してお金を払う、という気概がいいのでは。」と至極まっとうなことをいう。
#サービス業をやっていておもうが、ケチる人/せこい人には、よいサービスをしてあげたい!この人のためにどうにかしたい!という気持ちがガンガン薄れる。(ただし、よほどのイケメンか美人の場合は別。)サービス業をやっていてよかったなあと思うのは、気持ちよくサービスを受けるためにどうすればいいか解ることだ。サービス提供者も人間だもの。コミュニケーションとしての値切りと、せこい値切りは違う。セクハラみたいなもんだ。
そして真打ちおじさま登場。
「さっき、量販店で売られているディスプレイの写真があったでしょう?」
実は師匠と崇めている方が、某家電量販店でどのような説明で売られているか写真を撮ってきてくださった。
それを「こういう風に売られているからね、ここをチェック!安いだけじゃだめなのよ」と見せていた。
「あの写真、左上に初心者マークがあったんだけどさ」
「ええ。」
「パソコンって車と何の関係があるの?」
・・・・(・_・)
うーん、予想外の展開だ。
「僕はね、解体すると大体その機械の仕組みが解ると思っているんだけど、パソコンは中古を買ってきて解体したんだけど、うまくならないんだよね。」
(私と仕事、どっちが大事?って感じ・・)
こんな感じでそのおじ様が20分ほど質疑応答の時間を使ってしまった。
そのあと、まともな質問が少し続いた。
とある女史は
「サポートセンターに電話したのに、話がつながらないのです」
「電話が、ですか?」
「いいえ、向こうが言っていることが解らないのです」
「うーん。お互いの歩み寄りが大切です。」
なんだか人生相談の占い師のようである。(真打ちおじさまで疲労困憊になり、後の質問にあまり答えられなかったので反省してますが。)
初心者向けの講座かと思いきや、実は皆2台目を欲しがっているということも質問から解った。
1台目は闇雲に買い、とにかく安いものを買ってしまい、そして2台目にその反省を踏まえてきちんと勉強しようと思うみたいだ。
そして、質疑応答や個別の質疑、アンケートを見ていると、どうも、情報源が少ない人ほど購入に不安を感じているというような気がしてきた。どの情報を入手すればいいのか難しい、もしくは偉い人が言えば正しい、みたいなそんな感じがある。
また、アンケートでは自分と同年代の人がどのくらい使えていると思っているか、という問いを入れてみたのですが、パソコンが使えない人ほど周りも使えていない、使えている人はほぼ使えている、と思っていることも解る。
#ヒアリング調査をしていると、同じ年代なのに「おれの年はみんな使えないよ!」という人もあれば「私なんて使えないほうよ~、みんな使っているわよ!!」という人もいたので聞いてみたかったのだ。
情報源を制すること。情報源の洗い出し。
どういう情報の加工の仕方だったらみながしゃべりたくなるんだろう?
そんなことを考えながら、情報感度が低くなったら老化が始まるんじゃないかと思う。
あたりまえのことだけど、今回、講義をやってつくづく思う。
話したあとに「おもしろかったです。で、どっち買えばいいの?」とカタログを提示されたりもして、選択を他人に任せたらどんどん老化は進んでしまう
「あー、気付かなかったー!」「そういうの、興味ないし」というのが増えれば増えるほど、感度が落ちているなあと最近、思う。
ところで、デジモノと情報と言えばこんな情報。 「ブリエ読者のデジタル生活に関するアンケート調査結果」
併せて読みたい 50歳以上の「今の生活と老後」 私個人的にはこちらのほうが好き。
ではでは。
今月は精神的に余裕があるのでシニア情報をもう少し送れるかと思います。
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コメント
はじめまして!シニア層の動向に興味があり、楽しく読ませてもらっています。
「2台目に良い物を」と思いつつ「どこまで安くなりますか」って、結局そこかって展開がいいですね(笑)
パソコンが汎用機である以上、ある程度の分かりにくさは仕方ないと思うんですが、ケータイの「らくらくホン」のようにUIやマニュアル・サポート面でシニア向けの評価ができないかなーとも思ってます。
>選択を他人に任せたらどんどん老化は進んでしまう
その通りだと思います。選ぶときが一番楽しいのに。
投稿: tak | 2008/07/12 01:53